郵政3社上場と郵便事業の成長戦略
日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の3社が東証一部に同時上場しました。市場もまずまずの反応です。
しかし、グループで唯一上場していない。(できなかった??) 日本郵便の今後にどの様な影響があるのだろうか?
3社の上場益の使い道は・・・。日本郵便へのテコ入れはあるのでしょうか?
日本郵便は郵便や金融のサービスを全国一律に提供する「ユニバーサルサービス」が法律で義務づけられています。
しかし、総務省の試算では、全国2万4000か所余りの郵便局のうち、8割で郵便事業が赤字だということです。
このため、8年前の郵政事業の民営化以来、郵便物の集配業務の機能を一部の郵便局に集約するなどして、
郵便局の数は維持しながら効率化を進めてきました。
その第一弾として、ことし5月、郵便物を配達先ごとに分類する、物流拠点が埼玉県和光市で稼働を始めました。
これまで、物流拠点の役割を担ってきた全国の駅前の郵便局は、施設が手狭でトラックなどの出入りが不便だとして、
今後は、高速道路の利便性がよい郊外に大規模な拠点を整備します。これによって、全国に1100か所ある郵便局の
物流拠点を2020年までに70か所に集約することにしています。
一方、物流拠点の役割を終えた駅前の郵便局は、商業ビルに姿を変えようとしています。
立地のよい全国の駅前郵便局などを商業ビルとして整備してテナントの賃料など、不動産ビジネスも今後、強化する考えです。
しかし、人口減少が進む一方、インターネットの普及で郵便物が減り、国内の事業だけで成長の絵姿を描くのは限界があります。
西室泰三社長は「日本だけに閉じこもって成り立つ時代は終わり、これからがグローバル企業としての第一歩だ」と話しています。
ことし5月には、およそ6200億円でオーストラリアの物流最大手、「トール・ホールディングス」を買収しました。トールは、アジアを中心に
50か国以上に拠点があり、国際物流事業を展開しています。
日本郵便は副社長に加え、40代以下の若手職員など合わせて15人を現地に派遣し、国際物流のノウハウを取り込んで
今後、海外での物流事業を強化する考えです。
全国一律のサービス「ユニバーサルサービス」を維持しながら、国内の郵便事業の効率化と海外物流の強化という二つの経営課題をどう取り組んでいくのか・・・。
日本郵便は難しいかじ取りを迫られます。